REZOLVE-AA長期データ発表|治療をやめても発毛は続く?

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2026年10月1日、オーストリア・ウィーンで開催された欧州皮膚科・性病科学会(EADV 2026)で、**円形脱毛症の新しい治療薬候補「rezpegaldesleukin(レズペガルデスロイキン)」**の研究結果が発表されました。

注目されたのは、約1年間の治療を終えた後も、髪が生えた状態を維持した人がいたこと。さらに、治療終了後に発毛状態が改善した人も報告されています。

ただし、まだ少人数の研究結果であり、薬の効果が確定したわけではありません。

今回は、REZOLVE-AAという臨床試験で何が分かったのか、初心者にも分かりやすく整理します。

目次

今回のニュースのポイント

  • 約1年間の治療を終えた後も、6カ月間、発毛状態を維持した人がいた
  • 治療終了後に、さらに髪の状態が改善した人も報告された
  • ただし、対象人数は少なく、現時点では使用できない未承認の治験薬

REZOLVE-AAとは? どんな薬を研究しているの?

円形脱毛症は、免疫が関係する病気

円形脱毛症は、本来なら体を守る免疫の働きによって、髪を作る組織が攻撃されてしまう病気です。

免疫は、細菌やウイルスなどから体を守る大切な仕組みですが、ときには自分の体の一部を誤って攻撃してしまうことがあります。

円形脱毛症では、この免疫の異常が脱毛につながると考えられています。

なお、男性型脱毛症(AGA)とは原因が異なる病気です。

AGAの基本的な仕組みについては、漫画第1話「薄毛の原因」でも紹介しています。

新薬候補は、免疫の「ブレーキ」に働きかける

今回研究されているレズペガルデスロイキンは、制御性T細胞(Treg)という免疫細胞に働きかける注射薬です。

制御性T細胞には、免疫が必要以上に働かないよう調整する役割があります。

この細胞を増やし、働きを高めることで、円形脱毛症に関係する過剰な免疫反応を落ち着かせられないか、という考え方です。

なお、免疫と毛包の関係を調べた別の研究として、Nature Communicationsの皮膚ループス毛包免疫研究も紹介しています。こちらは円形脱毛症とは異なる病気の基礎研究ですが、免疫細胞が毛包にどう関わるのかを知る参考になります。

治療をやめても髪の状態が続いたって本当?

今回のREZOLVE-AA試験では、重症から最重症の円形脱毛症の人を対象に、薬の効果と安全性が調べられました。

試験全体には92人が参加し、そのうち31人が長期延長試験に進みました。この31人のうち、27人が治験薬を使うグループでした。

研究では、発毛状態を評価するために「SALTスコア」という数値を使っています。

SALTスコアとは?

SALTスコアは、頭皮のどのくらいの範囲で髪が失われているかを示す指標です。

  • SALT 100:頭皮の髪がすべて失われた状態
  • SALT 20:頭皮の脱毛範囲が20%の状態
  • SALT 10:頭皮の脱毛範囲が10%の状態
  • SALT 0:頭皮に脱毛が認められない状態

数字が小さいほど、脱毛している範囲が少ないことを意味します。

ただし、髪の太さや密度をそのまま表す数字ではありません。

6カ月後も8人中5人が発毛状態を維持

52週間の治療終了時に、SALTスコア20以下を達成したのは8人でした。

その8人が治療をやめた後、どうなったのかを調べたところ、次の結果が報告されています。

治療終了後SALT 20以下を維持した人数
4カ月後8人中6人(75%)
6カ月後8人中5人(約63%)

つまり、治療終了時に一定の発毛状態まで改善していた8人のうち、5人は6カ月後もその状態を維持していました。

ただし、これは参加者全員の63%という意味ではありません。

また、6カ月より長い期間も維持できるかどうかは、今回の結果だけでは分かりません。

治療終了後に、さらに髪が増えた人もいた

もう一つ注目されたのが、治療を終えた後に発毛状態がさらに改善した人がいたことです。

52週間の延長試験で治験薬を使用した27人について、より脱毛範囲の少ない「SALTスコア10以下」を達成した人の割合が調べられました。

時点SALT 10以下を達成した人数
治療終了時27人中約2人(7%)
治療終了6カ月後27人中5人(19%)

この間に、3人がSALTスコア20以下から10以下へと、さらに良い状態に達しました。

薬を使っていない期間にも改善が見られたことは、今回の研究で興味深い部分です。

ただし、この結果も27人という小さな集団での報告です。誰でも治療終了後に髪が増えると証明されたわけではありません。

研究結果で気をつけたいこと

今回の結果には、まだ分からない部分も残っています。

まず、治療終了後の経過については、薬を使わなかった人たちと同じ条件で比較した結果ではありません。

また、この試験では、36週時点の主要な評価について、当初の解析ではプラセボ(有効成分を含まない偽薬)との差が統計学的に明確とは判定されませんでした。参加条件に問題のあった4人を除く追加解析では、差が認められています。

安全性についても確認が必要です。治験薬を投与された72人のうち66人に注射部位の反応が報告されました。多くは軽度から中等度で自然に改善したとされていますが、より大規模な試験で引き続き調べる必要があります。

この薬は、もう病院で使えるの?

いいえ。レズペガルデスロイキンは、2026年10月時点で円形脱毛症の治療薬として承認されていません。

研究を進めるNektar Therapeuticsは、約850人を対象とする第3相試験「ZENITH-AA」を2027年初めに開始する予定としています。

第3相試験とは、これまでより多くの参加者で薬の効果と安全性を詳しく確かめる段階です。

この試験で良い結果が出た場合でも、実際に使えるようになるには承認審査などが必要です。

円形脱毛症が気になる人はどうすればいい?

今回の研究は、円形脱毛症の治療に新しい選択肢が生まれる可能性を示しています。

ただし、今ある円形脱毛症の治療がなくなるわけでも、すべての人がこの薬を待つべきというわけでもありません。

円形脱毛症には、ステロイドの外用や局所注射、重症例に対するJAK阻害薬など、病状に応じた治療選択肢があります。

円形脱毛症の特徴や回復期の毛髪の変化、治療の選択肢については、「はげと白髪どっちが先?」の記事内でも解説しています。

急に円形の脱毛ができた、脱毛範囲が広がっている、眉毛やまつ毛にも脱毛があるといった場合は、皮膚科で相談してください。

円形脱毛症とAGAは原因が異なり、必要な治療も違います。また、髪を強く引っ張る習慣などによって起こる脱毛とも区別が必要です。

こうした抜け毛の見分け方や受診の目安は、「髪の毛を触る癖ではげる?」の記事でも詳しく整理しています。

新薬のニュースだけで自己判断しないことが大切です。

この記事のまとめ

今回のREZOLVE-AA試験では、約1年間の治療を終えた後も発毛状態を維持した人や、さらに改善した人が報告されました。

  • 治療終了時にSALT 20以下を達成した8人のうち、5人が6カ月後もその状態を維持
  • SALT 10以下を達成した人数も、27人中約2人から5人へ増加
  • ただし、少人数の研究結果であり、効果や安全性の確認はまだ必要
  • 新薬候補は未承認で、約850人を対象とする第3相試験が予定されている

今回の発表は、円形脱毛症の治療に新しい可能性を示すものです。

しかし、「治療をやめても必ず髪が生え続ける薬ができた」と受け取るのは早い段階です。

髪の毛さん

髪の毛さん: 期待できる研究でも、結果はちゃんと見極めたいなー。未来の治療に注目しながら、今できることも大切にしていこうなー。


※本記事は2026年10月時点の研究情報を整理したものです。特定の薬の使用を推奨するものではありません。脱毛の症状や治療については、医師に相談してください。

出典・参考資料

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